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福利厚生

企業のワーケーション導入ガイド|メリット・費用・制度設計・事例を解説

By YASMYメディア戦略室

ワーケーションを企業で導入したいものの、

  • どのような制度にすればいいのか
  • 宿泊費や交通費は会社が負担するのか
  • 勤怠管理やセキュリティはどうするのか

と悩む企業担当者も多いのではないでしょうか。

ワーケーションとは、普段のオフィスとは異なる場所に滞在しながら仕事をする働き方です。厚生労働省は、ICTを利用して仕事をするワーケーションについて、テレワークにおける「モバイル勤務」や「サテライトオフィス勤務」の一形態として整理しています。

参考:厚生労働省

ただし、企業がワーケーションを導入するときに重要なのは、単に「旅行先で仕事をできるようにする」ことではありません。

企業向けワーケーションには、大きく分けて次の2つがあります。

タイプ

具体例

主な目的

個人利用型

旅行・帰省先から仕事をする

柔軟な働き方、休暇取得、福利厚生

企業・チーム利用型

合宿、研修、オフサイト、地域体験

チーム形成、人材育成、新規事業、社内交流

この2つでは、会社が用意する制度も、費用の考え方も大きく異なります。

この記事では、企業がワーケーションを導入するメリットだけでなく、導入目的の決め方、費用負担、労務管理、施設選び、導入手順まで実務的に解説します。

参考:観光庁「企業・従業員の皆様|ワーケーション&ブレジャー」

ワーケーションとは?企業で導入する前に知っておきたい基本

ワーケーションは「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた言葉です。

一般には旅行先やリゾート地など、普段とは異なる場所に滞在しながら仕事をする働き方を指します。

観光庁では、ワーケーションを休暇を主体とするものだけでなく、企業がチームで実施する合宿型や、地域課題解決型なども含めて整理しています。

参考:観光庁

休暇型ワーケーション

社員が旅行や帰省などをしながら、一部の時間だけ仕事をする形式です。

たとえば、

旅行先に5日間滞在し、2日は通常勤務、残り3日は有給休暇にする、といった使い方が考えられます。

社員自身が行き先を決めることが多く、企業側では「どこまでを勤務場所として認めるか」「宿泊費や交通費を誰が負担するか」といった制度設計が必要です。

業務型ワーケーション

会社が業務の一環として、普段とは異なる地域や施設に社員を集める形式です。

代表的なのは、

  • 合宿
  • 研修
  • オフサイトミーティング
  • 地域企業との交流
  • 新規事業開発

などです。

観光庁の実証事業でも、普段の職場では生まれにくいコミュニケーションや、社員満足度、エンゲージメント、チームビルディングなどへの有用性が確認される一方、「何のために実施するのかを明確にすること」が重要な課題として挙げられています。

参考:観光庁

企業がワーケーションを導入する目的

企業がワーケーションを導入する目的は、大きく「働き方」「人材」「組織」の3つに整理できます。

柔軟な働き方を実現する

個人利用型では、社員が働く場所を選びやすくなることが大きな特徴です。

たとえば旅行や帰省と仕事を組み合わせることで、従来より長期間その地域に滞在できる可能性があります。

観光庁の企業調査でも、企業がワーケーションに期待する主な理由として「多様な働く環境の提供」が挙げられています。

参考:観光庁

従業員のリフレッシュや満足度向上につなげる

普段とは異なる環境で働くことで、仕事と休暇を柔軟に組み合わせられる点もワーケーションの特徴です。

観光庁の調査では、企業が期待する効果として「従業員の心身のリフレッシュによる仕事の品質と効率の向上」が上位に挙げられています。

ただし、「リゾート地で働けば生産性が必ず上がる」と考えるのは適切ではありません。

仕事環境や業務内容、本人の希望によって効果は異なります。

チームのコミュニケーションを増やす

企業・チーム型では、個人の働き方よりも「一緒に過ごすこと」に価値があります。

普段リモートで仕事をしているメンバーが一棟貸し施設などへ集まり、

  • 昼は集中して仕事をする
  • 夕方にプロジェクトについて議論する
  • 夜は一緒に食事をする

といった時間を設けることができます。

特にフルリモート・多拠点型の企業では、ワーケーションというより「宿泊を伴うオフサイト」と考えた方が導入目的を設計しやすい場合があります。

人材育成や新しいアイデアの創出につなげる

業務型ワーケーションでは、単なる旅行ではなく、地域の企業や住民との交流、地域課題への取り組みなどを組み込むこともあります。

観光庁もワーケーションを、働き方改革だけではなく、人材育成、新規事業開発、地域課題解決といった企業の経営課題へ活用する取り組みとして位置づけています。

参考:観光庁

企業は「ワーケーションを導入する」前に目的を決める

企業のワーケーションで最も避けたいのは、「ワーケーション制度を作ること自体が目的になること」です。

同じワーケーションでも、目的によって制度はまったく変わります。

企業の課題

向いている方法

社員の働く場所を柔軟にしたい

個人利用型

長期休暇を取りやすくしたい

休暇+勤務型

リモート社員の交流を増やしたい

合宿型

経営課題を集中して議論したい

オフサイト型

新入社員・管理職を育成したい

研修型

新規事業のアイデアを作りたい

地域交流・課題解決型

企業側から見ると、実はここがかなり重要です。

「ワーケーション」という一つの制度にすべてを押し込むより、誰が・何のために・どのように利用するかを先に決めた方が、費用対効果も評価しやすくなります。

企業がワーケーションを導入するメリット

多様な働き方を提供できる

テレワークが可能な企業では、働く場所の選択肢を自宅やオフィスだけに限定する必要はありません。

厚生労働省も、ワーケーションをテレワークの一形態として位置づけています。

参考:厚生労働省

働く場所の自由度は、社員のライフスタイルに合わせた働き方を設計するうえで一つの選択肢になります。

社内コミュニケーションの機会を作れる

企業主催の合宿型ワーケーションでは、普段とは異なる環境で長い時間を一緒に過ごします。

観光庁の実証事業でも、日頃の職場では生まれないコミュニケーションによって、部署をまたいだ相互理解や一体感につながったという企業側の評価が報告されています。

参考:観光庁

特に、

  • 完全リモート
  • 拠点が複数ある
  • 部署間の交流が少ない

といった企業では、利用目的を設定しやすいでしょう。

採用や企業ブランディングの材料になる

柔軟な働き方を選べることは、採用候補者へ企業文化を伝える材料の一つになります。

観光庁の企業調査でも、「優秀な人材の雇用確保」「新卒・若手社員の採用や定着」をワーケーションに期待する企業が確認されています。

参考:観光庁

ただし、「ワーケーション制度があります」だけで採用力が上がるわけではありません。

実際に利用できる制度になっているか、社員が利用した事例を紹介できるかまで含めて採用広報へ活用することが重要です。

企業がワーケーションを導入するデメリット・課題

ワーケーションは、制度だけ作れば運用できるものではありません。

観光庁も、ワーケーションは認知されている一方、企業における実践はまだ限定的であるとしています。

参考:観光庁

労働時間の管理が難しくなる

旅行と仕事を同じ日に行う場合、

  • 何時から何時まで働いたのか
  • 移動時間は労働時間なのか
  • 夜にメールを返信した時間はどう扱うのか

といった問題が発生します。

ワーケーションであっても、通常のテレワークと同様に労働関係法令は適用されます。

企業側は、始業・終業報告や勤怠管理の方法をあらかじめ決めておく必要があります。

参考:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」

情報セキュリティの管理が必要

宿泊施設やコワーキングスペースでは、オフィスとは異なるネットワークを利用します。

そのため、

  • 公衆Wi-Fiを利用しない
  • VPNを利用する
  • PCを放置しない
  • 機密情報を第三者から見える場所で扱わない

といったルールを決める必要があります。

業務内容によっては「ワーケーション中には取り扱えない情報」を定める方法もあります。

利用できる社員が偏る場合がある

すべての職種が遠隔勤務できるわけではありません。

店舗勤務、製造、医療、現場業務などでは、ワーケーション制度を利用しにくい場合があります。

そのため全社制度として導入する場合は、利用できない職種との公平性についても検討が必要です。

企業のワーケーション費用はいくら?誰が負担する?

ワーケーションには、主に宿泊費、交通費、ワークスペース利用料、通信費などが発生します。

ただし、「ワーケーションだから会社が全額払う」というルールはありません。

厚生労働省は、テレワークに必要な費用について、企業と社員のどちらがどのように負担するかを事前に話し合い、明確なルールを作ることが望ましいとしています。

参考:厚生労働省

個人利用型の場合

個人が旅行先を決める場合、

  • 交通費・宿泊費:本人負担
  • 業務に必要な通信費:会社負担

などと分ける方法があります。

企業がワーケーション手当として一定額を補助する方法も考えられます。

会社主催型の場合

会社が合宿や研修として実施する場合は、業務目的の出張に近くなります。

たとえば10人で2泊する場合、

費用

宿泊費

30万円

交通費

20万円

食事・会議費

10万円

合計

60万円

であれば、1人あたり6万円です。

重要なのは単純な宿泊費ではなく、「この60万円で何を実現したいのか」を決めることです。

経営会議を行う、部署間交流を行う、新規事業案を作るなど、目的を決めてから予算を考えましょう。

ワーケーションを企業で導入するために決めるべきルール

企業が個人利用型のワーケーション制度を作る場合、少なくとも次の項目を決めておく必要があります。

対象者・対象業務

誰でも利用できるのか、テレワーク可能職種だけなのか。

利用できる場所

国内のみか、海外も可能か。ホテル、実家、コワーキングなどをどこまで認めるか。

申請方法

事前承認制にするのか、何日前までに申請するのか。

勤務時間

通常勤務と同じ時間なのか、フレックス制度を利用できるのか。

費用負担

交通費、宿泊費、通信費を誰が払うのか。

セキュリティ

利用可能なネットワークや端末、取り扱える情報をどう定めるか。

厚生労働省も、テレワークの対象業務・対象者、労務管理、申請方法、費用負担などについてルールを策定し、就業規則等で周知することを推奨しています。

参考:厚生労働省

参考:厚生労働省「テレワークモデル就業規則」

企業向けワーケーション施設の選び方

ワーケーション先は「景色が良い」だけで選ぶべきではありません。

仕事をする以上、業務環境が成立することが前提です。

Wi-Fi・通信環境

オンライン会議を行うなら、安定したインターネット回線が必要です。

施設側へ、

  • 通信速度
  • 有線LANの有無
  • Wi-Fiの利用人数

などを確認しておくと安心です。

仕事と生活スペースを分けられるか

特に複数人で利用する場合は重要です。

リビングしか仕事場所がない施設では、オンライン会議と集中作業が重なると使いにくくなります。

会議スペース、個室、ダイニングなど、用途を分けられる施設が適しています。

チームで滞在できるか

企業主催のワーケーションでは、一般的なホテルより一棟貸し施設が向いているケースがあります。

同じ建物の中で、

  • 仕事
  • 食事
  • 会話
  • 宿泊

を完結できるためです。

一方、個人利用では駅や観光地へのアクセスが良いホテルの方が使いやすい場合もあります。

つまり、施設選びも「ワーケーションだから」ではなく、実施目的から逆算することが重要です。

ワーケーションを導入している企業の事例

観光庁では、ワーケーションを導入・推進している企業として、日本航空、ユニリーバ・ジャパン、野村総合研究所、日本マイクロソフト、Salesforce、ランサーズ、サイボウズ、LIFULLなどの事例を公開しています。

参考:観光庁「ワーケーション導入企業事例」

日本航空(JAL)

JALは2017年からワーケーション制度を導入した先行企業です。

休暇中でも一部テレワークを行える制度を設け、長期休暇を取得しやすい環境づくりに取り組んできました。

制度を作るだけではなく、体験ツアーや社内広報を通じて利用促進を行っている点も特徴です。

参考:INTERNET Watch

ユニリーバ・ジャパン

ユニリーバ・ジャパンは、働く場所と時間を柔軟に選択する「WAA」を導入し、その後、自治体と連携した「地域 de WAA」を展開しました。

単に旅行先から仕事をするだけではなく、地域との交流や社員の成長機会まで含めた制度へ発展させています。

参考:観光庁

リコー・リコーITソリューションズ

2026年には長崎県・長崎市と連携したワーケーションプログラムも実施されています。

現在の企業向けワーケーションは、単なる休暇制度から、地域交流・人材育成を含むプログラムへと用途が広がっています。

参考:Travel Voice

企業がワーケーションを導入する流れ

ワーケーションは、まず施設を予約するのではなく、次の順番で検討すると失敗しにくくなります。

STEP

決めること

1

導入目的を決める

2

個人型・チーム型を選ぶ

3

対象社員・業務を決める

4

費用負担と勤務ルールを決める

5

セキュリティルールを整える

6

小規模に試験導入する

7

利用者の声・成果を確認する

8

制度を改善して対象を広げる

観光庁の実証でも、ワーケーションを有効に活用するには実施目的の明確化と社内規定の整備が重要とされています。

参考:観光庁

いきなり全社員へ制度を開放するより、まず5~10人程度で実施し、課題を確認する方法も有効です。

企業のワーケーションは「制度」より「利用目的」から考える

企業がワーケーションを導入するときに重要なのは、「ワーケーションを導入すること」そのものを目的にしないことです。

社員に自由な働き方を提供したいなら、個人利用型。

リモート組織のコミュニケーションを増やしたいなら、合宿型。

経営課題や新規事業について集中的に考えたいなら、オフサイト型。

社員の成長や地域との接点を作りたいなら、地域交流型。

目的が違えば、選ぶ施設、会社が負担する費用、必要な社内制度も変わります。

「誰が、何のために、どのような時間を過ごすのか」から逆算することが、企業ワーケーションを成功させる最初の一歩です。

一棟貸し施設を企業のワーケーションに活用する

企業やチーム単位でワーケーションを実施する場合、一棟貸し・古民家・ヴィラなどの宿泊施設も選択肢になります。

ホテルと異なり、同じ空間で仕事・食事・コミュニケーションの時間を取りやすいため、

  • 開発合宿
  • 経営合宿
  • チームオフサイト
  • 研修
  • 少人数のワーケーション

などとの相性があります。

YASMYでは、古民家や一棟貸しなどの宿泊施設を、企業の福利厚生や合宿・ワーケーションに活用できる仕組みを提供しています。

「社員数○名で利用したい」「オンライン会議ができる環境が必要」「仕事だけでなくBBQなども楽しみたい」といった条件から、利用目的に合った宿泊先を検討できます。

企業のワーケーションに関するよくある質問

ワーケーションとは簡単にいうと何ですか?

普段のオフィスとは異なる地域に滞在しながら仕事をする働き方です。

休暇と仕事を組み合わせる個人型だけでなく、企業が実施する合宿・研修・地域交流型なども含まれます。

ワーケーション中も労働基準法は適用されますか?

適用されます。

ICTを利用して業務を行うワーケーションは、厚生労働省ではテレワークの一形態として整理されています。通常の勤務と同様に、企業には適切な労働時間管理などが求められます。

参考:厚生労働省

ワーケーションの宿泊費は会社負担ですか?

一律には決まっていません。

個人旅行を兼ねる場合は社員が宿泊費を負担し、会社主催の合宿では会社が負担するなど、制度によって異なります。

厚生労働省は、テレワークで発生する費用について、会社と社員の負担区分をあらかじめ決めておくことを推奨しています。

参考:厚生労働省

ワーケーションには就業規則の変更が必要ですか?

現在の就業規則やテレワーク規程で、自宅以外からの勤務が想定されていない場合は、ルールの追加・変更を検討する必要があります。

厚生労働省は、対象者、対象業務、申請方法、勤務時間、費用負担などを就業規則等に定めて周知することを推奨しています。

参考:厚生労働省

企業のワーケーションにはどんな施設が向いていますか?

個人利用では、Wi-Fi環境やアクセスが良いホテル・宿泊施設が利用しやすいでしょう。

チーム利用の場合は、Wi-Fiに加えて、会議スペース、複数の作業場所、食事スペースなどを確保できる一棟貸し施設も適しています。

施設の豪華さではなく、「そのワーケーションで何をするのか」に必要な設備があるかで選ぶことが大切です。

著者について

YASMYメディア戦略室

YASMYメディア戦略室は、中小企業の福利厚生、採用・定着、リモートワーク、業務委託など、多様な働き方・雇用形態における組織づくりを研究・発信するYASMYの編集チームです。 働く場所や雇用形態が多様になる中で、企業と人のつながりをどのように設計するかという視点から、宿泊や地域での体験を活用した新しい福利厚生・チームづくりの選択肢をわかりやすく紹介していきますのでぜひチェックしてみてください!